1993 年 24 巻 1 号 p. 51-61
従来の間接的血圧測定法は上腕や手指などを測定対象として行われているが,体動を伴う種々の運動負荷時での血圧測定は不安定であった。本研究では,運動中においても被検者の動きを拘束せずに,安定した血圧測定が可能である頭部(アイレベル)血圧の測定法を考案した。本法は浅側頭動脈の血圧を間接的に測定するものであり,測定に必要となる血管容積変化の検出法および圧迫用カフについての原理的および理論的な検討に基づいた試作システムを用いて,測定精度および信頼性の検討を行った。光電的容積振動法により間接的に得られたアイレベル血圧値は,心臓と頭部の重力に対する静水圧分を補正すれば,聴診法による上腕動脈圧および他の間接法による手指動脈圧と比較的良く一致した。さらに体動の大きな運動負荷中での測定の安定性は,他の方法と比べると極めて良好であった。