杏林医学会雑誌
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脾摘が胃癌手術後の細胞性免疫能に与える影響
中田 芳孝鍋谷 欣市花岡 建夫加來 朝王小林 肇山田 輝司浜窪 悟小井土 昭二郎黒田 豪
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1993 年 24 巻 2 号 p. 223-232

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抄録

胃癌の外科的治療において,手術の根治性を高めるため,癌の進展範囲によっては脾の合併切除が行われる。脾摘が胃癌患者術後の非特異的細胞性免疫に与える影響を検討するため,胃癌治癒切除例を脾摘群と脾温存群に分け,各種免疫検査を術後2週,1ヵ月,2ヵ月,3ヵ月に,行い,その変動を検討し,以下の結果を得た。1.白血球数,リンパ球数は術後2ヵ月まで膵摘群に有意な増加がみられたが,3ヵ月後では有意差がみられなかった。2.PHA幼若化反応,NK細胞活性は両群間に有意な変動差はみられず,脾摘はリンパ球機能に影響を与えなかった。3.0KT3^+細胞,OKT4^+/OKT8^+比,OKIa1^+細胞は両群間に有意な変動差がみられず,膵摘はリンパ球サブセットに影響を与えなかった。4.胃癌患者の手術は,根治性の面から脾合併切除を優先させてよいと考えられた。

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© 1993 杏林医学会
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