杏林医学会雑誌
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乳幼児の気管内挿管に関する指針
岡 憲史
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1994 年 25 巻 4 号 p. 483-491

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抄録

小児麻酔の気管内挿管における,チューブの適正サイズの選択と適正な挿入長に関するprospectiveな検討を行った。7歳未満の小児600例を対象とし,1歳未満の200例を乳児群,1歳以上の400例を幼児群とした。経口気管内挿管を行い,気道内圧が5cmH_2Oで漏れが無く,25cm H_2Oで漏れのあるものを「適正サイズ」のチューブとした。-旦片側挿管として,口唇から気管分岐部までの距離を測り,その90%を「適正固定位置」とした。各症例の身体に関する16種類の因子を計測し,適正サイズと適正固定位置とに関するそれぞれの相関を群別に見た。その結果から,適正サイズと適正固定位置を予測するための臨床的指針を作成した。特に幼児群では手掌長,すなわち第3指先端から手根部までの長さが有用な指標であり,これに4cmを加えたものを適正固定位置と予測できる。この指針は特に,緊急気管内挿管で有用である。

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© 1994 杏林医学会
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