杏林医学会雑誌
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起立動作を応用した新たな運動負荷試験法の開発に関する研究
潮見 泰藏
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1994 年 25 巻 4 号 p. 493-504

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抄録

本研究では,全身持久力の指標である最大酸素摂取量(VO_2max)を推定するために,椅子からの起立動作を応用した新しい運動負荷試験法を考案し,その再現性ならびに妥当性を検証することにより,臨床応用の可能性について検討した。健常青年18名(男女各9名)を対象として,本運動負荷試験を1週間以内に2回実施し,この間の酸素摂取量,心拍数,主観的作業強度を測定した。各個人の年齢から予測される最大心拍数を求め,外挿法により VO_2maxの値を推定した。その結果,各測定値の再現性ならびにVO_2maxの推定値の再現性はいずれも良好であった。またこの推定値とあらかじめ自転車エルゴメータテストから得られたV0_2max(実測値)との間に高い相関が認められたことにより,本法の妥当性が確認された。しかも,運動強度の低い3点の最大下運動からVO_2maxを推定した場合にも,4点の最大下運動から推定した場合と同等の高い推定精度を得ることが可能であった。以上の結果,本法は簡便かつ安全な,有用性の高い運動負荷試験法であり,臨床応用が可能であると結論した。

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© 1994 杏林医学会
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