杏林医学会雑誌
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全脳虚血における揮発性麻酔薬の遅発性神経細胞死抑制効果
高木 晴代
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1996 年 27 巻 4 号 p. 533-539

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抄録

脳保護作用を発揮する薬剤は脳温を低下させることがその保護作用の本態であると考えられている。本研究ではセボフルランの脳保護作用と脳温の関連を検討した。ハロタン麻酔下の砂ネズミ25匹を用いた。両側総類動脈を5分間結紫した後,再灌流を行った。再灌流後,セボフルラン2.8%あるいはハロタン1.2%を1時間吸入させるか,臭化水素酸エプタゾシン10mg/kgを腹腔内に投与した。1週間後,海馬CA1錐体細胞数は虚血群27±14個/mmに対し,セボフルラン群は84±40個/mm(p<0.05)と有意に多かった。ハロタン群は51±61個/mm.エプタゾシン群は41±25個/mmであった。再灌流30分後の脳温はセボフルラン群では35.3±0.7℃であり,虚血群38.2±1.3℃と比較して有意に低かった(p<0.05)。セボフルランは再灌流時の脳温の上昇を抑制し,遅発性神経細胞死を抑制することが示された。

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© 1996 杏林医学会
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