2001 年 32 巻 2 号 p. 133-139
これまでに我々は, caffeineの自発運動亢進効果がadenosine A_2 receptorの阻害によって発現することを,行動薬理学的に証明してきた。Adenosine A_2 receptorは線条体や側坐核,嗅結節などに局在して発現しており,これらの部位はdopamine神経の支配を受けている。そこで本研究は, caffeine投与による自発運動亢進効果に対するdopamine receptor antagonistsの影響を検索する目的で行った。本研究ではOpen-Field装置を用いて,ラットの自発運動量を評価した。ラットにcaffeineを腹腔内投与することで自発運動量の用量依存的な増加がみられ, caffeie 10mg投与による自発運動亢進効果はdopamine receptor antagonistであるhaloperidol,選択的dopamine D_1 receptor antagonistであるSCH-23390,選択的dopamine D_2 receptor antagonistであるracloprideの前投与によって,それぞれ用量依存的に減弱された。以上の結果から, caffeineの自発運動亢進効果はdopamine神経系と関連していることが示唆された。