杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
全身性エリテマトーデスにおける抗ヌクレオソーム抗体の意義 : 臨床・病理組織学的研究
吉原 堅
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 32 巻 4 号 p. 427-437

詳細
抄録

全身性エリテマトーデス(SLE)における抗ヌクレオソーム(NS)抗体の臨床・病理組織学的意義を検討した。SLE54例,その他の膠原病40例を対象とし, ELISAにて抗NS抗体,抗dsDNA抗体を測定した。その結果, SLEでは,抗NS抗体の感度,特異度は,抗dsDNA抗体に比べ高かった。抗NS抗体はSLEの疾患活動性に正相関し変動した。また,抗NS抗体はループス腎炎で,抗dsDNA抗体に比し高い陽性率を示した。腎組織学的検討では, WHO IV型では両抗体陽性例を多く認めた(92.9%)が, V型では抗NS抗体のみの陽性例が66.7%と高率であった。抗NS抗体はSLEの診断,活動性判定に有用で,ループス腎炎,特にWHO分類V型の病因に関与していることが示唆された。

著者関連情報
© 2001 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top