杏林医学会雑誌
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原著
子宮体癌の術前進行度評価におけるMRIの役割
東 眞
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2003 年 34 巻 4 号 p. 360-370

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抄録

MRIでは, 子宮体癌組織がT2強調画像でhigh intensityに描出され, 子宮筋層など正常組織と識別できることより, その進行度の評価が可能である。本研究では152例を対象に, 癌の体部筋層浸潤評価と子宮体部外進展検出の精度, さらにそれに基づくMRI stagingの精度について検討を行った。
MRIによる子宮体部筋層浸潤の適正, 過小, 過大の診断の割合はそれぞれ, 内膜限局66.7%, 33.3%, 0%, 浸潤1/2以内91.1%, 0%, 8.9%, 1/2を超える70.2%, 27.7%, 2.1%, 漿膜におよぶ89.0%, 0%, 11.0%であり, 全体としての正診率は87.5%であった。癌の子宮体部外進展のsensitivityとpositive predictive valueは各々, 頸部間質浸潤92.9%, 92.9%, 子宮漿膜浸潤88.9%, 88.9%, 病的腹水80.0%, 100%, 骨盤腔内転移58.8%, 100%, リンパ節転移47.4%, 90.0%, 腹腔内転移0%, 0%であった。MRI stagingの正診率は70.4%であり, 過大評価が5.9%, 過小評価が23.7%で起こっていた。MRIによってIII期以上であるとの術前診断が可能であったのは31例中19例 (61.3%) であった。術前に把握できない子宮外進展の存在はMRI Ib期以下の4.3%に対しMRI Ic期では24.2%と有意に高頻度であった (p<0.05)。

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© 2003 杏林医学会
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