杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
生物の生殖多様性と共通性 : ゲノム生物学の視点から
蒲生 忍鈴木 知晴
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 36 巻 1 号 p. 5-13

詳細
抄録

杏林大学大学院保健学研究科の蒲生が中心となり, 学術フロンティア推進拠点研究「生活環境に起因する健康障害に関する包括的解析」が主催するワークショップ"多様性と普遍性"を平成16年9月13日, 午前9時から午後6時まで神戸国際会館会議室(神戸市中央区御幸通)にて開催した。ヒトのゲノム解析は現在の生命科学に非常に強い衝撃を与えた。ゲノム解析技術の確立は古くから遺伝学の実験材料として用いられてきたキイロショウジョウバエ, 発生分化の研究には欠かせない線虫C. elegansは当然として, その他の多くの動植物のゲノム解析の道を開いた。現在ではゲノム情報は生物現象を解明する際の基本的なツールであるばかりではない。そこから派生した情報処理バイオインフォーマティクスや, プロテオミクスに代表される関連分野の技術や知識を含めて大きな広がりを示している。遺伝子, ゲノムの解析からは生命現象に関わる多くの情報のみならず, 生物に普遍的に見られる現象, 形質やそれぞれの生物の多様性の基となる特異な現象, 形質の理解を助ける鍵を提供できることが示されている。

著者関連情報
© 2005 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top