杏林医学会雑誌
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手術患者における脈波分光法を用いた非観血的血中ヘモグロビン濃度測定
高木 敏行飯島 毅彦
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2005 年 36 巻 4 号 p. 313-319

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抄録

脈派分光法は,脈拍により変化する一定の波長の光吸光度より血中の物質濃度を測定する方法である。この方法を血中ヘモグロビン濃度の測定に応用した。手術患者41名を対象とし,3波長および4波長の測定用プローブを装着し,ヘモグロビン濃度の測定を行った。同時に採血された血液のCO-OXIMETERによる測定値と比較した。その結果,平均誤差は-0.9±1.35g/dl(3波長),0.2±1.30g/dl(4波長)であり,3波長では濃度依存性の誤差が生じていた。ヘモグロビン値10g/dlを基準として3波長および4波長測定法の特異度,鋭敏度は,それぞれ0.08,0.95(3波長)0.69,0.93(4波長)であった。誤差要因は回帰分析により平均赤血球血色素濃度(MCHC)が影響することが示された。4波長の脈派分光法による非観血的,連続的ヘモグロビン測定法は,測定精度も高く臨床応用される可能性が示された。

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