杏林医学会雑誌
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総説
Na+/K+-ATPaseとオリゴマイシンの相互作用
誉田 晴夫
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2007 年 38 巻 2+3 号 p. 29-36

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抄録

Na+/K+-ATPaseは全ての動物細胞膜に存在する膜酵素である。そして,ATPの加水分解エネルギーを用いてNa+を細胞内から細胞外に,K+をその逆方向に能動輸送するポンプの働きをする。オリゴマイシンはNa+/K+-ATPaseへのNa+結合親和性を上げるがK+結合には影響しない。またNa+輸送を阻害するが,K+輸送にはほとんど影響しない。さらに,ATPase活性を阻害するが,その部分反応であるNa+依存性のリン酸化中間体形成反応,及びK+依存性のリン酸化中間体分解反応はほとんど阻害しない。しかしNa+と一緒に加えると,低K+濃度で後者の分解反応を促進する。このような阻害剤は他に見当たらない。その阻害機構を知ることはNa+/K+-ATPaseによるイオン輸送機構の解明に貢献するだろう。ここでは,Na+/K+-ATPaseとオリゴマシンの相互作用について解説する。

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