1973 年 4 巻 1 号 p. 33-41
出生順位に関しては, 広い領域に亘つて, 非常に多くの研究が行なわれているにもかかわらず, その研究手段として採用されている統計学的推測の考え方, 手順は, 正しく適確に行なわれているものが極めて少ない。特定の出生順位から多くの精神障害者や非適応者が発生すると説く論文も, その系統誤差を修正しておらず, 系統的な誤りを有意差の如くに論じているようである。本論文は, 過去の研究に見られるいくつかの誤りのうち, 特に, 母集団の設定, 標本抽出, 自由度の決定など, 統計処理上の誤りと系統誤差について述べた。