杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
総説
皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた再生医療について
岩畔 英樹
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 43 巻 3 号 p. 43-48

詳細
抄録

 近年の幹細胞研究の進歩はめざましく,胚性幹細胞,組織幹細胞,造血幹細胞などをはじめとし,最近では京都大学のグループによって線維芽細胞に数種類の遺伝子を導入し,胚性幹細胞に類似した万能性を有する人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells; iPS) が世界で初めて創出された1)。しかし,胚性幹細胞やiPS細胞のような万能細胞の臨床応用には倫理性,安全性など検証しなければならない点が多数存在する。
 一方,比較的に倫理的問題の少ない体性幹細胞移植はすでに色々な疾患に対して臨床研究が開始され,一定の成果を出しつつある。
 そこで今回,骨髄由来・末梢血由来・皮膚由来など体性幹細胞源(ソース)として用いられている中でも皮下脂肪組織由来の細胞群(Adipose-derived Regenerative Cells: ADRCs)に注目し,この細胞を用いた基礎から臨床研究の現状を報告する。

著者関連情報
© 2012 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top