杏林医学会雑誌
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原著
Human papillomavirus(HPV)16型のphysical statusと持続感染に関する縦断的研究
大河戸 光章
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2013 年 43 巻 4 号 p. 93-105

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抄録
HPV(human papillomavirus)が宿主DNAにintegrationするイベントは子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia, CIN)の進展に必須であるとされていたが,近年,子宮頸部細胞診陰性材料において高頻度にintegrationの混在が認められている。しかし陰性材料でintegration formが存在することが,CIN発症および進行に関わるものなのかは明らかになっていない。そこで筆者は短間隔で3年以上経過観察した女性19名のうち,HPV16型が1回以上検出された11名(持続感染者3名,一過性感染者8名)を対象とし,リアルタイムPCR法でintegrationを検出し,その検出意義を調べた。その結果,持続感染者にはmixed formが認められ,一過性感染した女性やHPVが持続感染から脱して消失する検体ではepisome formが検出された。よってHPV16型のphysical statusは持続感染の有無に関与することが考えられた。
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© 2013 杏林医学会
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