原発性悪性骨・軟部腫瘍および癌骨転移の診断と治療に関する基本的知識を概説する。
原発性悪性骨・軟部腫瘍はきわめて多数の疾患概念の総体であり,管理には特殊なスキルが要求される。化学療法や放射線治療に対する感受性や,外科的治療の際に求められる切除縁は個々の腫瘍によって異なる。治療方針は臨床経過,理学所見,画像所見および病理組織学的所見の総合的解釈によって得られた確定診断に基づいて合理的に決定される。本疾患群は希少がんにあたるが,専門外の医師でも日常診療において本疾患群に遭遇する機会は意外と多く,本疾患に対する基本的知識をもつことが治療成績の向上につながる。
また,近年癌骨転移に対して外科的治療を含む積極的な介入が行われている。到達目標を明確にした適切な治療法の選択は,癌の終末期と考えられる骨転移を持つ患者において効果的に生活の質を改善する。治療法は多彩であり,生命予後,全身状態などの患者の状態によって選択されるべきである。