2023 年 54 巻 2 号 p. 31-39
【目的】妊娠中の身体活動がマイナートラブルとこれらに付随する心理状態への影響を明らかにする。【方法】対象は外来に通院中の健康な妊婦である。加速度計による客観的身体活動量と自記式質問紙による主観的身体活動量,マイナートラブルの有症状況,心理状態を調査し,ロジスティック回帰分析によりマイナートラブルとの関係を検討した。【結果】便秘関連症状群でマタニティ・スポーツ(OR=0.51),睡眠関連症状群で屋内での掃除(掃除機掛け等)(OR=1.38)で有意なオッズ比を示した。【考察】本研究ではマタニティ・スポーツの種類を限定していないため便秘への効果を厳密に示すことはできないが,食事や下剤などの方法に加えて,便秘の対処法として選択肢を増やせたことは妊婦にとって有用であるといえる。また,家事活動である屋内での掃除が増えたにもかかわらず睡眠関連症候群が増えた。これは,日常の身体活動が睡眠に影響するものとして妊娠中の睡眠時間は家事活動を行なうほど長くなることが報告されているが、それと反する結果であった。