2023 年 54 巻 2 号 p. 41-47
今回,コクサッキーウイルスA6(coxsackievirusA6 : CVA6)によるeczema coxsackiumを発症したアトピー性皮膚炎の6歳女児例を経験した。初診時,病歴と臨床症状より単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus : HSV)によるカポジ水痘様発疹症(eczema herpeticum)と考えアシクロビル投与を開始したが,後に入院時血清HSV抗体価陰性,CVA6抗体価陽性が判明し,eczema herpeticumではなくeczema coxsackiumと診断した。Eczema herpeticumでは角膜や眼周囲の症状がみられることが多いが,本症例では認めなかった。眼周囲の皮疹が軽微な場合には,HSV以外のウイルス感染を疑い,CVA6を始めとする原因ウイルスの検索をすることが診断の一助となる可能性がある。