杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
症例報告
繰り返す肺転移巣切除術により長期生存を得られた膵癌術後再発の一例
前園 知宏河合 桐男齊藤 裕史中元 康雄下山田 博明藤原 正親長島 文夫古瀬 純司
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 54 巻 3 号 p. 133-138

詳細
抄録

18年前に膵頭部癌に対して膵頭部十二指腸切除術および門脈合併切除術を施行し,高分化型管状腺癌,pStageⅡB(T3N1M0)の病理診断を得た。術後補助療法として6か月間のゲムシタビン(GEM)投与後,経過観察となった。術後4年後に左肺下葉,その2年後に右下葉,更にその2年後に左上葉に肺結節を認め,いずれも切除術により膵癌肺転移と診断された。以降,10年間は再発無く,初回の肺転移再発より14年間の長期生存を得ている。膵癌術後遠隔転移再発例に対する標準療法は全身化学療法であるが,初回再発が肺転移のみである場合は他臓器転移再発よりも予後が良好であることが報告されており,実臨床では肺切除が検討されることがある。本症例は3回の単発肺転移再発に対して3回とも外科切除のみで長期の良好な経過を得ている稀な一例と考えられる。

著者関連情報
© 2023 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top