1976 年 7 巻 4 号 p. 203-207
慢性腎不全患者に対する透析療法の進歩により透析患者の生存期間は延長し, それにつれて透析患者の骨代謝異常が重大な合併症として問題となつている。骨代謝異常の大きな原因はCa代謝異常である。近年このCa代謝異常の原因として慢性腎不全患者におけるビタミンDの活性化の障害が注目されている。我々は下肢痛を呈しrenal osteodystrophyが疑がわれた定期血液透析中の2症例に活性型ビタミンD_3のAnaloguesであり活性化に腎を必要としないDihydrotachysterol (DHT)を使用し, 下肢痛の完全な消失を認めると共に血清Ca値の上昇を認めた。又高Al-p値を呈した一例では著明なAl-p値の低下を認めた。以上の結果より骨痛など臨床症状の強いrenal osteodystrophyの患者にDHTを投与することは充分価値あることと思われ, 今後症例数を増して検討していく所存である。