杏林医学会雑誌
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糸球体腎炎の尿蛋白の研究 : 第 1 報 各種糸球体腎炎の尿蛋白 Selectivity について
福井 博義
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1976 年 7 巻 4 号 p. 208-215

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抄録

近年尿蛋白の質的分析が糸球体腎炎の成因の解明その他に有用な事が確かめられつつある。本報では尿蛋白の質的分析の1つとして尿蛋白Selectivityをとりあげた。従来尿蛋白Selectivityは一次性ネフローゼ症候群のステロイド治療効果との関係で論じられていた。著者はSLE腎症をはじめ各種糸球体疾患のSelectivityを測定し, 若干の新知見を得た。即ち, ステロイド治療中のSLE腎症でSI値は一定の傾向は認められなかつたが, 治療前に測定したSI値が低値であつた一例ではステロイド治療が奏功した。微少変化群は全例低値でステロイド治療が奏功した。膜性腎炎では低値を示すものもみられた。慢性腎不全では高いSI値を示し, 且つ慢性腎炎においてSI値とBUNが有意の相関を示したことより腎機能低下に伴い糸球体基底膜のSelectivityが障害されることが示唆された。

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© 1976 杏林医学会
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