1976 年 7 巻 4 号 p. 262-266
62歳男性で, 44歳より徐々に発症してきた随意運動時のミオクローヌスのため, ミオクローヌス型Hyperkinesie volitionnelleといえる病態に至つた症例について, その不随意運動の特徴を記載し, 脳波, 筋電図所見を中心に電気生理学的に検討を行つた。筋電図上, 拮抗筋間に同期する不規則非律動的筋放電を認め, その間に200msec.に及ぶ電気的なsilent periodが存在した。脳波上, 背景脳波の徐波化と, 光刺激によりミオクローヌスの出現と共に, 棘波ないしは多棘徐波結合を呈した。しかし, 棘波とミオクローヌス放電との間に一定の時間的間隔は認められず, 両者が必ずしも直接的な関係にないことが示唆された。