杏林医学会雑誌
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筋求心性活動で起こる筋収縮後の運動ニューロン放電
鈴木 秀次
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1978 年 9 巻 4 号 p. 241-247

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抄録

下腿三頭筋の感覚神経活動は等尺性筋収縮後,著しく活動を増す。その持続性の増大した筋収縮後感覚神経放電(PCSD)のほとんどが筋紡錘第1群a求心性線維からなっている。今回の実験はPCSDが支配している運動ニューロンにどのように影響しているかをみるため,軽麻酔下のネコを用い行なわれた。62個の運動ニューロンをL_7前根から記録した。下腿三頭筋の伸張刺激に対する反応様式によって運動ニューロンを機能的に分類した。前根を電気刺激し,刺激前-後の運動ニューロンの放電の変化をみた。伸張反射のあった運動ニューロンはPCSD期間中も発射頻度が増大した。この反応を示したニューロンの多くは持続的(tonic)α運動ニューロンであることが分った。PCSDの機能は,1)筋の強直をまねくことと,2)ごくわずかな筋の収縮のぶれの情報を中枢に送り筋の長さの正確さを保つことにあると考えられる。

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© 1978 杏林医学会
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