抄録
本研究では,小学校6年生を対象に,保健領域「病気の予防」と運動領域「体つくり運動(体の柔らかさを高める運動)」の統合単元を作成し,その効果を検討することを目的とした.
技能に関する結果において,柔軟性の評価として行った長座体前屈の記録は両学級とも単元前後において有意な向上が認められた.また,認識面では両学級とも,自らの体の変化への気づきが認められた.特に実践学級では,自ら体力や健康に関わる課題を持ち,運動を日常化しようとする意欲が認められた.さらに,態度面では,「体育授業診断的・総括的評価」の総合評価得点において,両学級とも単元前後で有意な向上が認められた.これらの結果から保健領域と運動領域を統合させた単元は,運動を日常的に行うことが,病気の予防方法として重要であることを児童に理解させるとともに,自らの体力や健康に対して関心を高め,主体的に運動に取り組むことを可能にする働きのあることが推察され,その有効性が確かめられた.