教育哲学研究
Online ISSN : 1884-1783
Print ISSN : 0387-3153
シュプランガーにおける教育の本質概念について
村田 昇
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1960 年 1960 巻 3 号 p. 47-59

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抄録

「教育とは何か?」この問題に関しては、古来、多くの思想家や教育学者によって、さまざまな定義がくだされてきた。しかしそれらは十入十色であって、決して一様でない。それは、究極的には、その人それぞれの世界観に依存するものだからである。そうだといって、教育の定義や概念を各人各様の考えのままの無政府的な規定や使用に委ねるならば、教育活動における混乱は避けられ得ないであろう。ここに、それらの全体を通じて流れる何ものか、それらに共通の、教育固有の (pädagogisch・eigentlich) 本質といったものを見出すことの必要な所以がある。このことに関して、エドウァルト・シュプランガーが、その著『教育学的展望』 (Eduard Spranger : Pädagogische Perspektiven. Beiträgezu Erziehungsfragen der Gegenwart 1950.) において展開した見解は、示唆するところすこぶる多いものと思われる。これを、他の諸著作にあらわれた彼の見解によって拡大・深化しながら、教育の本質概念ともいうべきものを探り出そうとするのが、この小論のねらいである。

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