九州病害虫研究会報
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有機水銀剤による茶炭疽病菌の分生胞子形成阻止効果と製茶への水銀の残留について
岡本 信義野中 寿之
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1965 年 11 巻 p. 42-45

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抄録

茶炭疽病に対する各種薬剤の分生胞子形成阻止作用は,有機水銀剤が最もすぐれ,銅剤などその他の薬剤の阻止効果は認められなかった。有機水銀剤の分生胞子形成阻止作用は,50~60日位持続するようで、また胞子形成量は無処理の5%以下に抑制された。有機水銀剤の茶芽発芽前散布は従来の茶芽発芽伸長期の銅剤などによる保護的防除法より顕著にすぐれた。
茶樹に対して散布された有機水銀剤の製茶中の残留は、各薬剤とも摘採の10~15日前散布まで残留があり,銅水銀剤では摘採の5日前散布までで,それ以前の散布では残留はなかった。有機水銀剤の種類では,PMTSの残留は最も長くかつ多かった。PMAおよびPMFでは摘採10日前散布で0.3~0.5ppmが製茶中に残留し,層有機水銀剤の種類により残留量が異なる。これは有機水銀剤の物理化学的性質によるものと思われる。

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