九州病害虫研究会報
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Pythium zingiberumによるショウガの根茎腐敗と温度
新須 利則
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1978 年 24 巻 p. 40-42

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抄録
P. zingiberumによるショウガ根茎の腐敗は,およそ20℃から37℃の間で甚しく, 40℃でも腐敗する。20℃より温度が下がるにしたがい,腐敗の進行は明らかに鈍るが, 13~15℃でも緩慢ながら腐敗が進む。腐敗のおこる温度の下限は9~8℃付近にあると思われるが,この温度は,生理的にみた貯蔵の最低限界温度と近接しており,貯蔵前に罹病根茎による菌の持ち込みがある場合,貯蔵中の大きな被害につながり得ることを示している。キュアリング処理によって貯蔵性が高まるが,この場合にもPythium菌による腐敗が短時間に進行することを考えれば,罹病根茎の持ち込みがある限り,必ずしも安全とは言えない。したがってPythium菌によるショウガの被害を防止するためには,貯蔵中のみならず,無病種の確保,作付ほ場の選定,ほ場管理,薬剤防除など総合的な対策によって,産地の浄化をはかっていかねばならない。
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