九州病害虫研究会報
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Pseudomonas viridiflavaによるキク花腐細菌病 (新称)の発生
尾松 直志鳥越 博明
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2003 年 49 巻 p. 56-60

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抄録

2000年3月,鹿児島県大島郡和泊町において,収穫間近のスプレーギクで,発蕾後花芯部分が褐変し,蕾が腐り,症状が進むと花首が折れ曲がる病害が発生した。発病部分からは細菌が分離され,キクに接種すると同様の症状が再現された。分離菌株はグラム陰性,好気性の極毛を有する桿菌で,グルコースを酸化的に分解し黄緑色蛍光色素を産生することから,Pseudomonas属細菌と考えられた。またLelliottらのLOPAT法による蛍光色素生産性Pseudomonas属植物細菌の類別に則って類別するとグループIIに属し,P.viridiflauaであると考えられた。そこで,分離菌株の細菌学的性質をP.viridiflava,P.cicoriiおよびP.marginalisと比較すると,分離菌株は調査した29項目すべてにおいてP.viridiflauaと一致した。以上の結果から分離細菌をPseudomonas viridiflava (BURKHOLDER 1930) DOWSON 1939と同定した。P.viridiflauaによるキクの病害はこれまでに報告されておらず,病名をキク花腐細菌病 (Bacterial blossom blight) とすることを提案する。

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