九州病害虫研究会報
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ワンステップ・イムノキャプチャーRT-PCR法によるカンキツからのリンゴステムグルービングウイルスの検出
草野 成夫井樋 昭宏
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2003 年 49 巻 p. 50-55

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抄録

リンゴステムグルービングウイルス(ASGV)をカンキツから高感度,簡便に検出するため,ワンステップIC-RT-PCRの利用を検討した。その結果,試料磨砕緩衝液ヘトリトンX-100(0.1%)を加えることと,逆転写反応を使用試薬に応じた最適温度で行うことによって検出感度が向上し,カンキツ硬化葉ならびに100万倍に希釈した新梢磨砕液からも検出が可能であった。本法は,通常のIC-RT-PCRで必要な,抗体によるウイルス粒子捕捉後の熱処理が省略でき,また,反応溶液への逆転写酵素とDNAポリメラーゼの同時添加により,1本のPCRチューブ内で逆転写反応とPCR反応を連続して行うので試薬類の分注操作が簡略化できる。さらに,抗体をコーティングしたPCRチューブをすぐに-80℃に保存すれば6ヶ月後でも使用可能であった。本方法により,抗体によるウイルス粒子の捕捉からRT-PCR反応までを1本のPCRチューブ内で連続して行うことが可能となり,従来法に比べ,より高感度,簡易,迅速にASGV保毒の有無を診断できると考えられた。

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