九州病害虫研究会報
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物理的防除法によるトマト黄化葉巻病およびシルバーリーフコナジラミの防除効果
小川 恭弘内川 敬介
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2004 年 50 巻 p. 72-76

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抄録

農薬に頼らないトマト黄化葉巻病の防除技術として,病原ウイルスTYLCVの媒介虫シルバーリーフコナジラミの侵入防止技術の中から,近紫外線除去(UVA)フィルムと防虫ネットの組み合わせによる防除効果を検討した。0.6mm目合い防虫ネットの開口部(施設側面,入口,天窓)被覆とUVAフィルムの組み合わせは,コナジラミ類および黄化葉巻病に対する防除効果が認められた。しかし,施設内気温の上昇を招きトマトの花芽分化に悪影響が出るものと思われたため,ネットを1.0mm目合いに変えた結果,ネットを施設側面のみに被覆した慣行区では,黄化葉巻病の発病株率20%であったのに対し,物理的防除区では本病を無発生に抑え,本病の防除に有効であることが示された。本防除法は,ハモグリバエ類及びチョウ目害虫に対しても高い防除効果が認められた。UVAによる灰色かび病抑制効果も期待でき,TYLCV媒介抑制効果が高いネオニコチノイド系粒剤の根域処理と組み合わせることで,TYLCV発生地域でのトマト主要病害虫に対する基幹防除技術として活用することができる。

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