九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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TKA 術後患者におけるチェックシートでの自主訓練管理が術後歩行能力や心理的側面に及ぼす影響
*尾道 陽夏
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p. 31

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抄録

【目的】

当院では,人工膝関節置換術(以下,TKA)後患者に対し,早期運動機能・運動習慣獲得を目的として術翌日よりベッド上での自主トレーニングを実施し,チェックシートを用いて管理している.諸澄らは術後早期から患者に対し自主訓練を指導,実践させることで退院時の自己効力感が改善し,退院時の歩行機能が良好であったと報告している.本研究の目的は,当院で取り組んでいるTKA 術後患者におけるチェックシートを用いた術後早期からの自主トレーニングの実施が術後歩行能力や心理的側面に及ぼす影響について検討することである.

【方法】

対象者は2019 年9 月~ 2020 年3 月の間に当院でTKA を施行した患者36例のうち,関節リウマチ・膝外傷後・再置換術・認知機能低下・運動制限が必要な合併症がある症例、研究の同意が得られなかった症例を除く,25 例(男性7 例,女性18 例,年齢75.2 ± 6.8 歳)とした.各担当者による運動療法に加え,自主トレーニングをチェックシートでコントロールする群(以下,C 群)9 例(男性2 例,女性7 例,年齢73 ± 8.2 歳)とチェックシートを用いない群(以下,NC 群)16 例(男性5 例,女性11 例,年齢76 ± 5.7 歳)の2 群に無作為に振り分けた.C 群の自主トレーニング内容は膝クッションを用いた膝関節屈曲運動,伸展運動,パテラセッティング,ブリッジ,体幹ローテーションの5 項目を各10 回1 日10 セット行うよう指導し,セルフチェックシートを用いて実施した項目へのチェックとNRS の記入を指導した.NC 群の自主トレーニングは本人に任せ適宜行うこととし,チェックシートは用いなかった.両群とも運動後はアイシングを徹底した.検討項目は術前・退院時の安静時NRS,運動時NRS,Timed up and go test(以下,TUG),10 m歩行速度,片足立位保持時間,Hospital Anxiety and Depression Scale(以下,HADS),自己効力感尺度(以下,SE 尺度),歩行器歩行獲得日,杖歩行獲得日として2 群間の比較を行った.統計学的検討にはT 検定とWilCoxson の符号付き順位検定を用い,有意水準を5%未満とした.

【結果】

2 群間各項目の術前・退院時の比較において,歩行器歩行獲得日はC 群6.8± 3.4,NC 群10.4 ± 4.5(P

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり,当院の倫理委員会の承認を得た.また,事前に対象者から同意を得たうえで十分な説明を行い実施された.

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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