抄録
平成14年度にPT、OT、STの3職種ともが介入した脳神経外科105症例に対し、既往疾患、対象患者の平均訓練開始日数、開始時OT訓練内容、介入時の訓練進行阻害因子について調査を行った。動脈硬化促進因子、心臓よりの塞栓源を既往疾患として持つものが多く認められ、早期介入の際にこれらの既往疾患に対する理解が必要であることが示された。入院からOT訓練開始までの平均日数は、PT、STに比し1、2日の遅れを生じていたが、急変時の対応を可能とすることで、3職種同日介入による包括的な訓練の展開が可能と予測される。開始時OT訓練内容は、ベッド上安静時期にても実施可能である食事動作訓練が最も多かった。介入時には著明な意識障害、血圧の変動、神経症状の増悪、電解質代謝異常による重篤な不整脈の出現、脳梗塞再発などにより訓練の進行が阻害される傾向を認めた。積極的な作業療法介入のためには、各症例の全身状態に配慮しながらリスク管理、再発予防を行っていくことが必要である。