主催: 社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会, 社団法人 日本作業療法士協会 九州各県士会
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右半側空間無視症例における着衣動作訓練の検討 医療法人恒心会 おぐら記念病院OT ◎福留 涼子・岩切 美和 MD 池上 正人 半側空間無視は着衣動作の獲得において阻害因子となる。今回我々は,左半球損傷による右半側空間無視を呈した症例を経験した。この症例に対し,キーワードを用いて着衣動作訓練にアプローチを試みた。その効果を検討するためにシングルケーススタディを用いて効果の比較を行なった。今回の結果から右半側空間無視を呈する患者の着衣動作におけるアプローチは自立には至らなかったものの有効であったと考えられた。本症例においては,左半球の頭頂葉だけでなく言語野にも病変が認められたが,失語症は見られなかった。したがって優位半球の機能が右半球に,そして劣位半球の機能である視空間能が左半球に存在しているものと推察される。今回,着衣動作の介助量軽減においては,右側へ意識化させるだけでなく,右半球の側性化により言語的刺激を発語することで,行動に枠組みを与えたことが効果的であったと考えられる。