九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第28回九州理学療法士・作業療法士合同学会
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当院回復期リハビリテーションカンファレンスにおける現状と課題について
*東島 美佳村上 将司松本 泉
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p. 87

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抄録
【はじめに】
当院回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)では、現在PT5名・OT4名・ST2名を配置している。その中で対象者に対し毎月カンファレンス(以下カンファ)を行い、ADL・QOLの向上、在宅復帰を目標にチームアプローチに取り組んでいる。しかし、さまざまな要因により長期入院となっている対象者が存在する。今回4月より診療報酬改正によって、回復期リハ対象者の期限が各疾患によって異なることとなった。そこで、当院回復期リハ病棟にて180日超えの対象者における長期入院の要因を調査し、検討したのでここに報告する。
【対象・方法】
平成16年4月から平成18年3月までに当院回復期リハを退院した270例中、180日超え45例(中枢30名・整形15名)を対象とし、最多6回のカンファ内容を調査し、長期化した要因を3大項目に分け、詳細について病棟スタッフとともに検討した。
【結果】
長期化した要因として、(1)対象者の身体・心的要因・(2)家族要因。(3)環境要因に分類した。詳細は(1)の要因として重症例6例、高次脳・認知症有り11例、障害受容の遅延4例、ADLの重度介助7例、合併症の併発5例。また(2)の要因として介護不安18例、介助者の心身要因8例。(3)の要因として一人暮らし3例(入院前10例)。転帰先の変更26例、身障手帳・介護保険申請の遅延12例。また在宅退院者11例中家族指導による時間消費5例、家屋改修遅延4例、サービス調整の遅延9例であった(重複回答あり)。
【考察】
今回の結果から長期入院の要因として、身体状況だけでなく、環境による要因が多くみられた。これはカンファの中で現状のみの把握で予後予測・方向性の確認が不充分であったことが反省点として挙げられた。また本人・家族のニードが十分に把握できていなかったために、家族に不安が生じていたこと、家族指導や家屋改修が遅延したこと、サービス調整の遅れが考えられた。これらの問題はカンファの中で早期に取り組むことで長期入院を解決できる要因であると考えた。そこで、当病院回復期リハ病棟では各対象期間においてカンファ時期や具体的な内容をマニュアル化し、[1] できるADL・しているADLを一目で把握できるようにチャート化し、ADL能力の予後予測を行い向上点・不変点を把握し方向性の決定を行い、検討をする。[2] 早期に本人・家族のニードの確認を行い、各スタッフが役割分担し、サービスの調整・家屋調査の実施・家族指導などに取り組む様チェック方式にする。上記のことをふまえて在院日数の短縮化の流れについて病棟スタッフ全員が同じ認識を持ち早期在宅復帰や対象者のQOL向上につながるようにチームアプローチを行い、検討を重ねていく必要があると考える。
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© 2006 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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