抄録
【目的】
居宅生活を継続するために通所サービスを利用するのだが、利用を中止せざるをえない場合がある。そこで、今回通所リハビリテーション(以下通所リハ)・通所介護の利用を中止する原因を調べた。
【対象】
平成18年4月から平成19年3月までの1年間で、通所リハを利用した者129名(平均77.7歳)、通所介護を利用した者65名(平均84.9歳)。また、両施設での介護度は大差なかった。
【方法】
上記対象者中、1ヶ月以上利用中止した者をそれぞれ原因ごとに分類した。
【結果】
1ヶ月以上中止した者は、通所リハでは41.8%(62名)、通所介護では27.7%(18名)であった。通所リハの中止原因は、1)他施設への変更:32.3%(20名)、2)転倒による外傷:19.4%(12名)、3)家庭の事情(本人の意志):11.3%(7名)の順で多かった。通所介護では、1)家庭の事情(本人の意志):38.9%(7名)、2)内科疾患・転倒による外傷:同数で各27.8%(5名)の順で多かった。ここで、居宅以外の転倒場所をみると、通所リハ利用中で2名であった。また、転倒による外傷を介護度別にみると、1)要介護1:47.1%(8名)、2)要介護2:23.5%(4名)、3)要支援1・2:同数で各11.8%(2名)の順で多かった。これを認知症性老人の日常生活自立度判定基準別でみると、1)正常・1:同数で各35.3%(6名)、3)2:23.5%(4名)の順で多かった。
【考察】
今回、利用中止者が想像以上に多く驚いた。まず、両施設の合計で1番多い他施設の利用だが、これは新介護予防給付後徐々に介護度が変更され、要支援になった者が複数の施設利用ができなくなったためである。2番目は転倒による外傷だが、これは環境整備や介護力のある通所リハ利用中でも起こっているため、移動時の見守りや転倒に対する注意を徹底する必要がある。また、問題となるような認知症がない者(正常・1)、日常生活動作がある程度は可能な者(要支援1から要介護2)が大多数だったため、運動や生活指導、家屋訪問の重要さが再確認された。3番目は家庭の事情(本人の意志)だが、ほとんどの者が要支援1・2で介護度も低く、1回でも利用した者は全て対象者に入れたためと考えられる。しかし、本人の意志に関しては、通所リハや通所介護の効果に対する理解が不十分な場合もあるため、通所サービスの目的等を利用者・家族に理解してもらう努力が必要である。4番目の内科疾患は、ほとんどが風邪もしくは肺炎(誤嚥性肺炎も含む)であり、体調管理の重要性が改めて確認された。最後に、対象が各1施設で期間も1年間だったため対象数が少なかったが、この結果を今後活かしていければと考える。