九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第29回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 016
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モジュラー型車いすの導入にあたり考慮すること
*徳田 光広
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抄録

【はじめに】
 車いす利用者にとって、車いすのよりよい適合は各種活動の礎となると考えられる。年々、車いすの性能や機能、種類は増えており、適用の広いモジュラー型の車いすを病院や施設でみかける機会が多くなっている。また、主体となり導入を勧めることも増えている。しかし、各種ある中で何を基準に選択し導入すべきか判然としない場合がある。そこで今回、入院患者の身体寸法を測定し、その結果から適応の広いモジュラー型車いすについて考察し報告する。
【対象】
 当院入院中の車いす使用者で端座位保持見守り以上の11名(全員女性、平均年齢83.0±2.8歳)とした。今回は車いす使用者の後期高齢女性に焦点を当てた。
【方法】
 身体寸法の測定方法は財団法人テクノエイド協会より抜粋し、1座位臀幅(臀部最大横幅)2座底長(臀部後端~膝窩)3座位下腿長(足底~膝窩)4座位腋窩高(座面~腋窩)5座位肘頭高(座面~肘頭)とし測定した。さらに身体寸法から想定される車いす寸法を財団法人テクノエイド協会の方法より身体寸法平均値から加減して後期高齢女性の想定される車いす寸法範囲として算出。
【結果と考察】
 身体寸法の測定結果(単位mm:平均値±標準偏差)は1座位臀幅343±25、2座底長395±14、3座位下腿長354±17、4座位腋窩高323±46、5座位肘頭高168±21。身体寸法から想定される車いす寸法(単位mm)は1シート幅343~373、2シート奥行345~325、3シート高(前座高)374~425、4バックレスト高253~223、5アームレスト高178~188であった。この車いす寸法と市販モジュール型車いす各種寸法を比較するとシート幅とシート高は合致する車いすが多かったが、その他寸法はよく合致しているとは言い難く、算出した寸法が小さい傾向であった。これは今回の対象者を後期高齢女性に限定し、さらに円背などで小柄な対象集団となった為と考える。しかし座位保持のみの機能とし、クッションや背あての併用とみればシート奥行・アームレスト高も多くのモジュラー型車いすと合致する。座位保持機能に駆動の機能も加えると今回の対象集団では下肢駆動や両上肢駆動で大きな動きは制限される方が出てくる。駆動機能を付加すると考えると、車軸位置変更やクッション厚み・形状変更で部分的に対応できると思われる。
 今回は後期高齢女性の車いす使用者を対象とした。今後は対象を広げながら、各ケースでの検討も踏まえよりよい機器の選定や導入に努めたい。

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© 2007 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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