九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 64
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病棟担当制についての実態調査報告
*杜若 竜司
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抄録
【はじめに】
 当院リハビリテーション科では、病棟担当制と称し、回復期病棟・神経難病病棟・療養病棟の各病棟に専属のPT・OTを配置している。この研究の目的はリハビリテーション科(PT・OT・ST)と病棟各スタッフ(Ns・CW)にアンケートを実施し、病棟担当制に対する印象、病棟単位での取り組み等の現状を分析し、問題点や今後の取り組みについて検討する事である。
【対象および方法】
 リハビリテーション科スタッフ36名、病棟スタッフ27名にアンケートを依頼し、回答を得た57名を調査対象とした。アンケート用紙を直接配布し、目的と内容に説明を加えた上で記入をしてもらい、後日回収した。質問項目は、1.病棟担当制になってよかったか2.1の理由3.病棟と取り組んでいる事、今後取り組みたい事の記載とした。
【結果】
1.病棟担当制になって良かったですか?
リハ :はい28名,いいえ0名
 どちらでもない8名
病棟:はい21名,いいえ0名
 どちらでもない0名
2.良かった理由
リハ :情報共有化の改善45件,
業務の効率化12件,その他5件
病棟:情報共有化の改善39件,その他5件
3.どちらでもない理由
リハ :新人,STなので分からない。病棟担
 当スタッフ以外との情報交換が減少,担当患
 者の疾患に偏りがある等の欠点もある。
4.病棟での取り組み
回復期:症例検討会(2回/月),入浴指導,
 集団起立練習,スタッフカンファレンス,
 ADL確認表
神経難病:集団体操(パーキンソン病体操)
療養病棟:集団起立練習,
      離床・ROM指導
5.取り組みを強化したい事
褥瘡対策,ADL介助方法の統一
【考察】
 今回の調査で情報共有化の改善と業務の効率化が利点として挙げられた。これは病棟での生活状況や訓練内容をリハ・病棟スタッフが同じ視点で確認する機会が増え、効果的にADL評価・指導、訓練内容・時間調整等に反映できるといった情報共有化と業務の効率化との相乗効果をもたらしたと考える。問題点は神経難病や整形疾患の知識・経験不足から難病・回復期病棟での勤務に多くの新人が不安を抱えている事である。現在、症例検討会・勉強会・病棟ローテーションにより、知識、技術、経験値の向上を図り、新人教育ではプリセプター制度、評価セットの作成・提出を導入している。
 褥瘡対策、ADL介助方法の統一は以前から実施していたが、全ての病棟スタッフに指導内容が伝わっていない事があった。現在は入院時からの実技指導を行い、一定期間継続して行う事で病棟からの支持を得ている。
【結論】
 病棟担当制は高い支持を得ており、利点は情報共有化の改善、業務の効率化で問題点は病棟担当以外でのコミュニケーション不足、担当疾患の偏りが挙げられた。各病棟で特色ある取り組みが実施されており今後、取り組みたい事はリハビリ、看護、介護スタッフ共通で褥瘡対策、ADL介助方法の統一が挙げられた。
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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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