抄録
短い風下距離での反応拡散実験を行なった。オゾンをバックグランド濃度として含む大気中にNOガスを放出し、風下距離120mまでのいくつかの地点においてNO, NO2及びO3濃度の連続測定を行なった。NOx濃度の非常に大きな変動が観測されたが、瞬間プルーム中の各汚染質の平均濃度が得られた。この結果、反応があっても [NO]+[NO2] 及び [NO2]+[O3] の各濃度和は保存していること、日中であっても移流時間が20秒以内ではNO2の光分解速度はその生成速度とくらべてかなり小さいことがわかった。またNO2の生成速度は移流時間とオゾンのバックグランド濃度だけでなく乱流拡散による希釈率にも依存していることが明らかになった。
発生源からの風下距離が比較的短い場合に適用できる保存則から導いた反応拡散モデルを提案し、瞬間プルーム中の実測との比較でかなり良い結果を得た。