九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 134
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Mini-incision TKAとQS system使用TKAの術後リハビリ経過の比較検討
*嶋村 剛史平山 史朗山田 博文久保田 健治
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キーワード: TKA, 手術侵襲, 術後経過
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抄録
【はじめに】
 TKAにおいて皮膚、皮下組織、筋肉等の侵襲を最小限に抑えることで、術後の疼痛を軽減し、術後の機能回復、ADL、QOLを高めると言われている。当院では2006年3月よりMini-incision TKAを施行しており、 2007年5月よりquadriceps sparing system(以下QS system)が導入された。QS systemは大腿四頭筋(内側広筋)完全温存が可能とされており、日本人の筋肉の付着型では完全温存は困難であるが侵襲を抑えることが可能である。今回Mini-incision TKAとQS system使用TKAの術後経過の比較検討を行ったので報告する。
【対象】
 2006年3月から2008年12月の間に当院で施行されたTKAでQS system使用TKA(以下QS群)29例34膝(男性4膝、女性30膝)とMini-incision TKA(以下Mini群)38例48膝(男性12膝、女性36膝)を対象とした。平均年齢はQS群74.4±4.5歳、Mini群76.2±5.6歳、術前ROMの平均はQS群屈曲128.2°伸展-3.6°、Mini群屈曲126.8°伸展-5.4°で両群に有意差はなく、術中可動域が0°~120°以上得られていた。
【方法】
 在院日数、手術から膝関節屈曲active120°、passive120°、膝関節伸展0°獲得に要した日数、膝関節伸展能力としてextension-lagが改善するのに要した日数、歩行能力としてT字杖歩行獲得に要した日数を記録し、以上の項目を統計学的に比較検討した。
【結果】
 在院日数、T字杖歩行獲得日数、extension-lag改善日数においてQS群が若干早かったが有意差は得られなかった。ROMにおいても完全伸展獲得日数では有意差は得られなかった。active 120°屈曲獲得日数ではQS群が有意に早かった(P<0.05)。Passive 120°屈曲獲得日数でもQS群が有意に早かった(P<0.05)。平均皮切長はQS群9.2cm 、Mini群11.5cmであった。また退院時にactive120°屈曲獲得した割合はQS群94.1%、Mini群87.5%であり、完全伸展を獲得したのはQS群94.1%、Mini群58.3%であった。
【考察】
 QS system使用TKAは Mini-incision TKAと比較して術後早期からの可動域改善が認められた。QS群は皮切の短縮等も含め侵襲の軽減により術後成績が早期化したと考える。主な要因としては侵襲の軽減により疼痛が軽減し、早期からの積極的なリハビリを可能としたことが考えられる。今後も症例を重ね、退院後も含めて術後経過を比較検討していきたい。
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© 2009 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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