抄録
【目的】
患者様が当院リハビリテーション(以下,リハ)部職員のリハの質における「リハ内容」と「接遇」についてどのように感じているかを客観的に把握し,その内容から課題を整理することを目的に満足度調査を行った.
【対象】
当院に1ヵ月以上入院しているMMSE24点以上,かつ失語症のないリハ対象患者様のうち,調査の趣旨に同意が得られた36名とした.
【方法】
当院の「リハ部指針」や「接遇マニュアル」を参考にして,リハの治療内容や接遇に関する独自の調査票(7カテゴリー,計34問,4件法)を作成した.調査票について患者様に説明後,無記名で記入して頂き,回収箱に投函して頂いた.統計処理はPSポートフォリオ分析を用いた.
【結果・考察】
総合的な満足度への影響度が高い項目は直接的に患者様の治療効果に影響するリハ内容に関する項目が多く,影響度が低い項目は,接遇に関する項目が多かった.
リハ内容の項目別に検討すると,リハの説明については優先的に維持すべきものとして「治療内容の説明に納得」,維持すべものとして「リハ目標の説明に納得」,優先的に改善すべきものとして「目標の説明不足」「治療内容の説明不足」が挙げられ,目標,治療内容ともに説明機会が不足しているものの,説明には納得されている方が多い傾向にあることが示された.このことは,個人によって説明機会の有無に差があると考えられ,今後説明機会を設けることを標準化することが総合的な満足度向上に繋がると考えられた.リハの治療内容では優先的に改善すべきものとして「リハ量への不満」「訓練以外の時間が退屈」が挙げられ,訓練時間外での自主訓練を中心としたスケジュールの導入が必要であると考えられた.
接遇の項目を検討すると,マナーについては優先的に維持すべきものとして「公休時の連絡ができている」,優先的に改善すべきものとして「よく走り回る」「時間変更時の連絡不足」,言動では優先的に改善すべきものとして「忙しい時の対応が雑」が挙げられた.これらは総合的な満足度の向上のために忙しい時や公休時などのマナーや言動において適切な対応を行っていくことが重要であることが示唆された.
総合的な満足度への影響度が高い項目全体を見ると,優先的に維持すべきものに挙げられた各項目と改善すべきものに挙げられた各項目は全体の平均値と比較して大きな差が見られず,ともにどちらにも成りうる可能性が考えられた.したがって,優先的に維持すべきものはすぐに改善すべきものとなる危険性があり維持する努力を怠らない必要があること,優先的に改善すべきものは努力すればすぐに改善が可能であると考えられた.
今回の結果を参考に今後より一層の満足度の向上に努めていきたいと考えている.