九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 035
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脳性まひ児に対する足部手術後の理学療法評価の試み 第2報
100Nの力を加えたときの足関節背屈角度の変化
*栗原 まり松本 力間普 千恵柴田 さやか重信 聖貴坂井 奈津子劉 斯允
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抄録
【はじめに】
 第1報においてハンドヘルドダイナモメーター(以下HHDとする)を用いた足関節他動運動抵抗の数値化を検討し、検者内の信頼性は良好な結果を得ることは出来たが課題も多い。そこで今回、より高い信頼性を求めることを目的として、足関節他動運動抵抗時の加える力を一定としたときに得られる角度を計測し、整形外科的選択的痙性コントロール術(以下osscs)後の「硬さ」の変化を表現できないかを検討・検証したのでここに報告する。
【対象】
 下肢に既往歴や感覚障害、可動域制限のない健常者3名(男性1名、女性2名、平均年齢30.3±5.31歳)の両下肢(6肢)を対象とした。尚、検者・被検者ともに今回の目的を説明し、了承を得た上で実施した。
【方法】
 測定機器はANIMA社製 等尺性筋力計μtas F-1を用いた。測定は背臥位で行い、100N時の足関節背屈可動域角度を測定した。HHDはセンサーパッドを第1および、第5中足骨頭を結ぶ線上に当て、足関節を他動に動かした。測定時は遅い速度で他動運動を行い、被検者には力を抜いておくように伝えた。検者にはHHDの液晶画面が見えるように設定し100Nの力を加えたところで角度を計測した。尚、角度の計測者は検者間の誤差を最小限にするために1名に限定した。統計処理には級内相関係数(以下、ICC)を求めた。
【結果】
 平均は12.8±5.21°、検者内信頼性はICC(1.4)=0.95であった。
【考察】
 今回、100Nの力を加えることで得られる角度の変化で「硬さ」を表現できないか、その方法の検者内の信頼性を検証した結果、ICC(1.4)=0.95と優秀であった。これにより、臨床でも評価として利用できる可能性が示唆された。より高い信頼性を得ることができた要因としては、加える力を固定したことで第1報の検討課題であった検者の男女差や経験の差などに影響されず、評価の目的説明の有無、対象者の問題などの影響も反映されにくいのではないかと考えられる。また、100Nをkgに変えることで、本人や家族にも分かりやすく抵抗感を伝えることが可能となった。また、今回の目的であるosscs後の評価だけでなく、実際の理学療法前後での効果判定にも応用できる可能性が示唆された。
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© 2009 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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