九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 256
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当院メディカルフィットネスでのセラピストの役割と実際
    ~障害者会員への関わりを通じて~
*坂口 重樹吉田 久美香片寄 慎也古谷 紘子渕 雅子
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抄録

【はじめに】
当院は平成19年6月に医療法第42条第5項による健康増進施設「メディカルフィットネスあいあい倶楽部(以下、フィットネス)」が開設され2年半が経過した。フィットネスには健康運動指導士等の資格を有するトレーナーが勤務しているが、開設から1年が経過した平成20年6月からはトレーナーに加えPT2名、OT2名のセラピストも配置され、障害を有する会員への対応を導入した。障害を有する会員とは、当院の外来リハビリへ通院しながらフィットネス会員になられている方(以下、障害会員)であり、外来リハビリの算定回数制限導入後、このような障害会員が徐々に増加傾向にある。そこで今回は、このような障害会員の状況報告と、セラピストの関わりを通じて、今後の展望を検討したので報告する。
【障害会員の状況】
平成19年6月から平成21年2月(2年6ヶ月)の間にフィットネスに入会された障害会員数は90名(男性54名、女性36名)であり、平均年齢は55.3±17.3歳であった。年齢の内訳は、10歳代3名、20歳代8名、30歳代8名、40歳代8名、50歳代13名、60歳代33名、70歳代14名、80歳代3名であった。会員の有する疾患は、脳梗塞26名、脳出血28名、外傷性脳損傷7名、そのた脳脊髄疾患19名、運動器疾患10名であった。
【障害会員へのセラピストの関わり】
1)会員種別の検討:当フィットネスは、一般会員、ナイト会員に加え、あいあい会員(障害者スタジオレッスン会員)を設け、当院の入院者や外来リハビリ通院者より入会希望があった場合、事前会議にて会員種別を決定している。
2)運動メニュー作成:初回利用時に個人の目的や身体能力に適した運動メニューを作成し指導している。
3)運動指導と運動メニュー変更:運動前後に行うセルフストレッチ、有酸素運動、マシンを利用した筋力トレーニングなど、運動方法や負荷量、運動回数などの指導と、ステップアップにつながっていくようなメニュー変更を提供している。
4)障害者スタジオレッスン:グループレッスンで、障害会員の身体機能レベル別にグループ作成できるよう4レッスンを設け、トレーナーとセラピストで実施している。
【今後の展望】
当メディカルフィットネスは、現在、障害を有する方が会員の3分の1を占めている現状である。外来リハビリ通院者は、算定回数制限でリハビリを受けることが減少してきたものの、介護保険認定には至らない身体機能の方々も多く存在するため、障害会員は今後も徐々に増加していくのではないかと考えられる。よって、障害会員が多い当フィットネスにおいては、PT、OTの知識を活かしてトレーナーとの連携が大変重要だと思われる。最後に、障害を有する方々に対して当フィットネスが維持期リハビリの提供場所として機能していくよう、今後は現在行っている定期的な体力測定の結果のフィードバックや、結果に基づいた運動メニュー作成などを更にシステム化していきたいと考えている。

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