九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 361
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当院における大腿骨近位部骨折患者の現状
*松岡 綾猪熊 美保成冨 耕治武藤 知宏真鍋 靖博松崎 哲治山下 慶三
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抄録
【はじめに】
当院は、整形外科疾患の急性期治療を行っており、大腿骨近位部骨折に対する手術件数は年間90例を超えている。当院では、内部疾患など多くの合併症を有する患者や、近隣の精神科病院からの受け入れも多いため、個別性を重視した治療を行ってきた。しかし、DPC(Diagnosis Procedure Combination)導入に伴う入院期間の短縮など、現代の医療情勢に対応するため当院でも大腿骨近位部骨折のクリニカルパス(以下CP)作成を検討することとなった。今回、当院の大腿骨近位部骨折患者の現状について調査し、自宅復帰に影響する因子について検討したので報告する。
【対象】
当院で2009年1月から12月までに理学療法介入した大腿骨近位部骨折患者95例のうち、透析患者、死亡した者を除いた77例(男性23例、女性54例、平均年齢82.4±8.6歳)を対象とし、術式を、人工骨頭置換術(以下A群)20例、γ-nail(以下B群)25例、Compression Hip Screw(以下C群)13例、Hansson Pin(以下D群)11例、Intramedullary hip screw(以下E群)8例に分類し検討した。
【方法】
77例のうち、自宅復帰した36例に対して、その要因を在院日数、認知症の有無、退院時の移動能力の3要因との関連性について重回帰分析を用いて検討を行った。また、各術式における在院日数との関連性について、一次配置分散分析を行った。 いずれも危険率は5%未満を有意とした。
【結果及び考察】
在院日数が短い(p<0.05)、認知症が無い(p<0.05)、退院時の移動能力が高い(p<0.001)の3要因に、自宅復帰に繋がる要因として関連性が認められた。各術式における在院日数の比較では、他4群と比較して、D群において、有意に短かった(p<0.05)。近年、自宅復帰に関しては認知機能や退院時歩行能力の高さが影響するという報告が多く、今回の調査においても相違ない結果となった。また、入院期間が短いことが自宅復帰との関連が深いという結果であった。その他、受傷前の歩行能力やADL、既往歴の有無、術後の合併症の有無なども関連があるのではないかと考える。今後も調査を継続し、更なる因子との関連性や術式別による術後の経過を比較検討しながら、CPの検討および作成を行っていきたい。
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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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