九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 79
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骨接合術後(以下ハンソンヒ゜ン)遅発性骨頭壊死を呈した症例
*久場 美鈴
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キーワード: LSC, 跛行, 整復
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抄録
【はじめに】
今回ハンソンヒ゜ン術後、LSC を呈した症例について 考察を加え報告する。 【症例紹介】
70代後半女性 体重46_kg_左大腿骨頚部骨折garden Stage_II_ 【経過】 H21 2/13ハンソンヒ゜ン施行され術後2週間目で自宅退院。術後2か月後疼痛増悪しX線にて骨頭壊死の診断。H21 5/13人工骨頭置換術を施行され、術後4週目で自宅退院となった。 【骨接合術後2週目の評価】
歩容は左下肢単脚支持期は短縮し、逆trendelenburg跛行に加えDuchenne跛行がみられる。立脚中期から後期にかけて膝伸展位でロッキングが観 察される。日整会点数疼痛35点、可動域17点、歩行能力18点、日常生活動作20点。
【考察】
ハンソンヒ゜ンは骨折部に持続的な圧迫力が加わり従来の骨接合術と比べ早期荷重が可能である。また低侵襲により術創部痛を軽減し、早期ADL拡大ができる利点をもっている。その反面、フックが骨頭を穿破したり、整復位破綻や骨頭壊死により再手術となる場合がある。本症例は術後疼痛の訴えはなく跛行が残存したまま自宅退院となった。加藤らによると痛みの強い症例ほど逆trendelenburg跛行を示しやすいと述べている。その理由の一つとしてtrendelenburg跛行では立脚相の股関節は相対的に内転位となり、大腿骨頭の 臼蓋に対する被覆率が低下し単位面積あたりの接触圧が高まり、疼痛の増悪しやすい環境となることを考える。これに対し逆trendelenburg跛行では、立 脚相の股関節は相対的に外転位となり、被覆率が増大し単位面積あたりの接触圧が低下するため疼痛が軽減しやすい環境になると述べている。よって本症例は疼痛回避跛行を行っていたことが考えられた。疼痛回避跛行の原 因として骨接合術をしてるとはいえ、骨片間は不安定な状態だったことが推測され術側の固定力が不十分なため殿筋群の筋出力低下により骨盤を水平位に保つことが困難となり、骨頭への負荷応力の変化に加え循環不全によ り股関節内圧が上昇したことが考えられた。したがってLCSの予防として発生の危険性は半年から術後2年までは特に高く、荷重管理のための動作指導や生活指導が重要である。今後さらに症例数を増やし、再手術例の特徴などに調査検討を重ねる必要があると考える。
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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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