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【はじめに】
地域包括ケア病棟(以下、包括病棟)の算定要件は60日以内、在宅復帰率は7割以上と定められている。そのため、在宅復帰を前提とするには、包括病棟入棟時の患者選定が重要となってくる。そこで今回、急性期病棟から包括病棟へ転棟した骨折患者の日常生活動作評価の変化の特徴と自宅退院の可否に関連する因子を検討した。
【方法】
対象は平成26年9月~平成28年2月に当院包括病棟へ入棟し、退院した骨折患者79名(脊椎骨折41名、大腿骨近位部骨折13名、脛骨・膝関節周囲骨折12名、大腿骨骨折6名、骨盤骨折4名、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折3名)で、性別は、男性26名、女性53名、平均年齢は、72.6±13.2歳であった。入棟14日以内に退院した者及び上肢骨折、足部の骨折は除外した。包括病棟入院期間での一日平均疾患別リハビリテ―ション算定単位数(以下、平均単位数)は2.3±0.7単位であった。
患者属性は、年齢、性別、疾患カテゴリー(下肢・骨盤骨折、脊椎骨折)、急性期病棟入院期間(以下、急性期期間)、包括病棟入院期間(以下、包括期間) 、平均単位数とし、日常生活動作評価には、機能自立度評価表の運動項目(以下、mFIM)を用い、包括病棟入棟前mFIM (以下、入棟前mFIM)、包括病棟退院時mFIM(以下、退院時mFIM)を全て入院カルテより抜粋した。また、包括入棟前と退院時のmFIMの差(以下、ΔmFIM)を算出した。そして、転帰を自宅退院群(以下、退院群)67名と他施設への転院・転所群(以下、転院群)12名に分け、全ての項目に対し、Mann-WhitneyのU検定、χ2検定を行った。患者属性と入棟前mFIMで有意差が認められた項目を独立変数とし、従属変数を退院群0、転院群1としてロジスティック回帰分析を行った。全ての統計手法とも有意水準は5%以下とした。また、抽出された独立変数は、Receiver Operating Characteristic(ROC)曲線を作成し、自宅退院の可否のカットオフ値を求めた。
【結果】
退院群は転院群と比較して、入棟前mFIM(退院群vs転院群:69.9±14.3 vs 41.6±13.0)と退院時mFIM(84.0±8.2 vs 57.9±13.2)は、有意に高値を示したが、ΔmFIM(14.1±10.5 vs 16.3±9.9)は有意差を認めなかった。自宅退院の可否における単変量解析では、年齢、疾患カテゴリー、急性期期間、入棟前mFIMに有意差が認められた。ロジスティック回帰分析では、疾患カテゴリーが除かれ、抽出された変数のオッズ比は、年齢で1.29(95%信頼区間1.03~1.62)、急性期期間で1.10(95%信頼区間1.02~1.18)、入棟時mFIMで0.85(95%信頼区間0.77~0.95)であり、モデルχ2値はp<0.001であった。カットオフ値は年齢で79.5歳(感度91.7%、特異度71.6%、領域下面積0.852)、急性期期間で29.5日(感度75.0%、特異度76.1%、領域下面積0.759)、入棟前mFIMで58.5点(感度82.1%、特異度91.7%、領域下面積0.930)であった。
【考察】
包括病棟へ転棟した骨折患者においては80歳以上で自宅退院率が減少した。また、急性期期間の長期化が自宅退院を阻害していることが示されたが、患者重症度が影響していると考えられた。mFIMに関しては、退院群で入棟前、退院時ともに有意に高値を示した。しかし、ΔmFIMと包括期間に有意な差が見られなかったことから分析すると、転院群で包括期間内に自宅退院できるレベルまでmFIMが改善しなかったのは、入棟前mFIMが低値になっていること自体が原因であると思われた。つまり、包括病棟からの自宅退院には、入棟前mFIMが重要であり、その目安として、59点以上が必要であることが示された。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究に使用した患者データは、入院時に合意を得た上で、カルテから抜粋し、個人情報の取り扱いについては十分に留意し、検討を行った。