抄録
本稿では、欧州、北米、南米、アジア、オセアニアで使用されている多様な手話言語を対象とする共時的・通時的語彙統計学を概説する。手話を対象とした語彙統計学的な問題意識に基づく先行研究を、共時的な比較・対照と、通時的な比較という視座に基づいて鳥瞰することにより、同義語・借用語や類像性などの課題を整理した。手話言語に色濃くみられる課題を考慮し、生産的・固定的語彙や混合言語といった言説の導入、手話言語を対象とする語彙統計学における方法論の標準化、手話や方言の相互作用の可視化という 3 つの題目を提示する。