抄録
黒潮大蛇行には,蛇行の谷(最南端)が伊豆・小笠原海嶺の西にある大蛇行西偏流路(LMW)と,谷が海嶺上にある大蛇行東偏流路(LME)の2 種類が存在する。蓄積された黒潮流路データを用いて,LMW とLME の特性を比較した。5 回のLMW と3 回のLME を比較すると,LME の蛇行の中心緯度はLMW よりも高く,LMEの蛇行の振幅はLMW よりも小さかった。流路方程式の解を黒潮流路にフィッティングした結果,LME の初期流路方向はLMW よりも小さかったが,LME の特性速度と蛇行の波長はLMW と有意な違いはなかった。LMEとLMW の谷の経度の違いは,離岸経度の違いによるもので,特性速度の違いに伴う蛇行の波長の違いではない。