La mer
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英仏海峡および東北地方太平洋岸における polydorids 多毛類(多毛綱:スピオ科)の種の豊富さに関する研究
Jean-Claude DAUVIN 大越 和加大越 健嗣阿部 博和
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2024 年 61 巻 3-4 号 p. 233-244

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抄録
英仏海峡のpolydorids 多毛類はこれまでにも多くの多毛類目録で報告されており,日本の東北地方太平洋岸 でもpolydorids 多毛類を記述する報告がいくつかある。両地域の種の豊富さ(species richness)を比較し,考察 した。さらに,2018 年3 月,日仏共同研究により,フランス・ノルマンディー地方西海岸沿いで野生と養殖のマ ガキCrassostrea gigas (Thunberg, 1793)の殻からpolydorids 多毛類を採取することに成功した。また,石灰藻 や他の石灰基質からもいくつかの種が得られた。Boccardia, Boccardiella, Dipolydora, Polydora の4 属に属する 8 種が記録された。ノルマンディーでは,Polydora hoplura Claparède, 1868 とDipolydora giardi (Mesnil, 1893) の2 種が知られており,さらにDipolydora 属の1 種が種レベルで同定されていないことが判明している。 Boccardia proboscidea Hartman, 1940, Boccardiella hamata (Webster, 1879) および Polydora websteri Hartman in Loosanoff & Engle, 1943 はノルマンディーにおける,Boccardia pseudonatrix Day, 1961 およびPolydora onagawaensis Teramoto, Sato-Okoshi, Abe, Nishitani & Endo, 2013 はヨーロッパ海域における新記録種である。多毛類の専門家と協力して英仏海峡のような有名な海を調査すれば,新種を発見することができ,実際に存在す る種のリストを増やすことができることを示している。英仏海峡のカキにどのような多毛類が侵蝕しているの かを特定するために,このパートナーシップをさらに継続することが必要であることを、本研究は明らかにした。
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© 2024 日仏海洋学会
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