La mer
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カキ養殖台上に設置したコンクリートブロックに 定着したタナイス類Zeuxo holdichi Bamber, 1990 の生活環と個体群動態に関する最初の研究成果 (英仏海峡東部地域,セーヌ湾)
Jean-Claude DAUVINAurélie FOVEAUManon JEAN
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2024 年 61 巻 3-4 号 p. 245-257

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抄録
タナイス類のZeuxo holdichi は英仏海峡のフランス側の潮間帯や浅瀬に多く生息し,カルバドス沿岸では非常に高い豊度で確認されている.潮間帯のカキ養殖台 (海底から 0.5m) の上に人工ブロックを設置し,底生のコロニー形成実験を1 年間行い,Z. holdichi の豊度と個体群動態を調査した.隔月のサンプリングにより,コロニー形成は急速で,4ヶ月で 2,000 individuals per m2の豊度に達することが示された.9 月末と11 月初旬に2つのピークが観察され,豊度は 21,000 individuals per m2を超えた。アロメトリー測定の結果,頭胸部の長さが個体の全長を推定する良い指標となることが示された。個体群は主に 5.35mm までの雄雌成体からなる。抱卵雌は6月中旬から調査終了まで存在し,8-10 月に多く出現する。卵の数は5 から89 個で,1 つの育房に平均24 個の卵が存在する。雌の平均サイズは3.5mm,平均的な雌雄比は 4.28である。これらの生活特性を考慮すると,Z.hodichi は新しい硬い基質に迅速にコロニーを形成する高い能力を有している。
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© 2024 日仏海洋学会
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