近年、廃棄物の発生抑制、資源効率の改善、そして低炭素社会や循環経済(circular economy)の形成に対する必要性への関心に促され、耐久消費財の製品寿命に対する関心が高まってきている。本稿では、その製品寿命への関心の高まりについて述べ、産業や政府にとってのその意味について議論する。ライフサイクルアセスメント(LCA)といった環境分析ツールや手法における製品の長寿命化にまつわる議論の重要性について触れながら、製品寿命を製品ライフサイクルと区別する重要性について説明する。また、経験ベースの製品寿命に関する知見の増加がLCAの研究において用いられる不正確な仮定によるリスクを減じることについて論じるとともに、環境影響を最小化するためのエネルギー使用製品の最適な買い替え時期の推計のためにLCA研究が用いられていることについて述べる。そして、経済面、環境面、社会面での持続可能性における製品寿命の重要性や、製品の長寿命化の促進が消費者にもたらす潜在的な便益についても考える。それらの問題は時折複雑であるため、本稿では、技術的により高いエネルギー効率をもつ製品の開発が可能である場合に生じ得る環境面でのトレードオフに関する議論について述べる。製品寿命に対する理解の深化に努めている学術研究コミュニティの成長について示し、近年の製品寿命についての知見や政策の進展について説明する。本稿の最後の節では、欧州委員会によるEU循環経済政策パッケージによって促されてきた、国際機関、政府部門や公的機関の委託による最近の調査研究について見ていく。これらの内容は、廃棄物管理から廃棄物発生抑制、線形経済(linear economy)から循環経済への戦略的転換に対する必要性についての合意の高まりを示している。