日本LCA学会誌
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解説
漁業LCA研究の現状と課題
藤森 康澄
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2018 年 14 巻 3 号 p. 213-218

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抄録

この数十年の間、世界の水産物の需要の増加とともに漁業生産量は大幅に増加している。その結果、現在、多くの地域の水産資源は一様に減少傾向にある。このような状況を背景として、水産資源の管理手法は制度、技術の両面にわたり大きく進展してきた。こうした管理の対象は、もちろん対象となる水産資源とそれを生産する漁業であり、いかに資源量を把握して再生産を維持しながら漁獲を行うかが管理方策の主体とされてきた。しかし、近年の生産量の増大にともなう加工、流通の量と範囲の拡大は、海面のみならず陸上におけるエネルギー消費、廃棄物に関わる漁業の環境影響について考慮する必要性を高め、新たな管理の考え方が議論されるようになった。こうしたことから、2000年以降、LCAの手法を用いた養殖業、漁業を対象とした研究が徐々に増えてきている。さらに、近年では、陸上から漁業資源とそれをとりまく海洋生態系にわたる総合的な環境影響評価の可能性についても言及されている。本稿では、漁業の抱える問題を整理したうえで漁業LCA研究の現状を紹介するとともに、その課題について考察する。

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